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地震保険 について

火災保険は、火災や自然災害などで損害を受けた建物や家財を補償するものですが、

「地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没または流失などの損害」は補償されません。

これらを補償するのが「地震保険」であり、対象は居住用の建物・家財です。

(事業用建物・設備等を、所定の条件のもとで独自に補償している保険会社もありますので、ご相談ください。)

一部の火災保険では、地震などによる火災で半焼または全焼した場合に、「地震火災費用保険金」として

火災保険金額の5%程度が支払われるケースがありますが、地震保険の補償とは異なります。

 

地震保険は、国と民間保険会社が共同で運営する公共性の高い保険です。

大規模な地震が発生し、保険会社だけでは補償しきれないような損害が発生した場合は、

政府が代わって保険金を支払う仕組みになっています。

また、地震保険は「被災者の生活の安定」を目的としているため、建物や家財の損害額全てを補償するものではありません。

つまり、地震保険で受け取った保険金で今と同等の家を建て直す(家財を購入する)ことは難しく、

生活を建て直すための資金と位置づけられています。

地震保険は、単独では契約することができず、火災保険と必ずセットで契約する必要があります

(既に加入中の火災保険に、途中で地震保険を付加することも可能です。)

火災保険に地震保険をセットしている割合を示す付帯率は、2010年は48.1%でしたが、

2018年では65.2%と年々増加傾向にあります。

特に2011年、東日本大震災が発生した年には大きく上昇しています。

 

地震保険は、「建物」・「家財」と対象ごとに契約します。

補償金額は、火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で、建物は5,000万円まで、家財は1,000万円までと上限額が決まっています。

 

地震で損害を受けた場合、地震保険で設定した保険金額が、必ずしも全額支払われる訳ではありません。

保険会社に連絡すると、建物・家財ごとに鑑定人等による調査が行われ、

損害の大きさによって「全損」(100%)、「大半損」(60%)、「小半損」(30%)、「一部損」(5%)の4段階に判定されます。

建物は主要構造部(基礎、軸組、外壁、屋根等)の損害の程度により判定され、

家財は時価額に対する損害の割合によって判定されます。

支払われる保険金額は、実際にかかった修理費や再建費、再購入費ではなく、損害規模と契約金額に応じた金額です。

修理の見積りなどが不要なため、比較的早く保険金を受取ることができます。

 

例えば、保険金額2,000万円の火災保険(建物)に加入した場合、

地震保険の保険金額は600~1,000万円の範囲で設定します。

仮に地震保険の保険金額を1,000万円とすると、

全損なら1,000万円、大半損なら600万円、小半損なら300万円、一部損なら50万円が保険金として受取れます。

この金額だけでは、建て直しはできません。

しかし、被災時の当面の生活費や仮住まい費用などとして、生活再建に役立てることができますから、

地震保険の役割は大きいと言えます。

(なお、地震保険では30万円を超える貴金属や宝石、現金や商品券、自動車などは補償されません。)

 

分譲マンションの場合、個人で契約するのは建物の専有部分と家財で、共有部分など建物全体はマンション管理組合で契約します。

専有部分と共有部分の損害認定で異なる判定が出た場合は、高い損害割合が採用されます。

例えば、専有部分が一部損、共有部分が小半損なら、専有部分も「小半損」として支払われます。

 

火災保険は、建物の所在地や構造などごとに、各保険会社が保険料を設定しています。

つまり、同じ場所・同じ建物に対する同等の補償であっても、保険会社によって保険料が異なります。

一方、地震保険は、所在地と建物の構造(耐火・非耐火)ごとに国で保険料を決めているため、

どの保険会社で加入しても補償内容も保険料も変わりません。

そのため、各保険会社の地震保険を比較する必要はなく、火災保険を比較して選び、

そこに地震保険を付ければ良いのです。保険料も火災保険と一緒に支払います。

 

火災保険の契約期間は最長10年(2015年10月以降の契約)ですが、地震保険は1~5年です。

いずれも長期契約で保険料を一括払いする場合、契約期間が長いほど割引率は大きくなります。

その他、地震保険には建物の建築年や耐震性能に応じた割引制度が用意されています。

「建築年割引」、「耐震等級割引」、「免震建築物割引」、「耐震診断割引」の4つがあり、保険料が10~50%割引されます。

 

地震保険の保険料は「地震保険料控除」の対象となり、所得税や住民税の控除が受けられます。

年間支払保険料が5万円までの場合、控除額は、所得税では保険料全額、住民税では保険料の半額となり、

同じく5万円超の場合は、所得税は一律5万円、住民税は一律25,000円となります。

長期契約の保険料を一括で支払った場合、保険料総額を契約期間で割った金額が年間の控除対象となります。

毎年届く「地震保険料控除証明書」にその年の控除対象保険料が記載されていますので、

それを基に年末調整、または確定申告を行います。

(なお、「旧長期損害保険料控除」の対象となる保険(平成18年12月31日以前に締結された一定条件を満たす契約)

にも加入している場合は、経過措置が適用されています。 )

 

世界中で発生している大きな地震の約2割が日本で発生しているというデータもあるほど、日本は世界有数の地震国です。

30年以内に「首都直下地震」は70%程度、「南海トラフ地震」は70~80%という高い確率で巨大地震が発生すると予測されるなど、

今後も大地震に備える必要があります。

地震が発生すると、建物が倒壊する以外にも火災や津波による損壊など、一瞬にして家を失う可能性があります。

住宅を失ったにも関わらず、住宅ローンだけが残るという事態も想定されます。

万が一、地震の被害に遭った場合に、経済的な負担を少しでも軽減するためにも、

地震保険のご加入状況の再確認をしてみてはいかがでしょうか。

ご不明な点、ご要望等ございましたら、お気軽にお声掛けください。

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