コラム
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労災保険における 精神障害 と 脳・心疾患 について

精神障害 の労災認定

厚生労働省が6月23日に公表した2020年度の労災補償状況によると、

仕事の強いストレスに伴う精神障害の労災認定は前年度比99件増の608件でした。

2年連続の増加で、過去最多を更新しました。

これは2020年6月から精神障害の原因として明確に認められたパワハラの労災認定が急増したことがあげられます。

 

 

精神障害の主な原因は、以下のようになっています。

1位 「上司などからのパワハラ」(99件)

2位 「事故・災害の体験・目撃」(83件)

3位 「同僚などからの暴行・いじめ・嫌がらせ」(71件)

4位 「仕事内容・量の変化」(58件)

 

脳・心疾患 の労災認定

 

 

厚生労働省は6月22日、脳・心臓疾患に対する労災認定の報告書案を示しました。

残業時間が「過労死ライン」とされる月80時間に達しない場合でも、

休息時間や心理的負荷などを含めて総合的に労災にあたるかを判断するよう求めています。

同省が2001年に通達した基準を20年ぶりに見直し、労災を認定しやすい環境を整える方向性です。

 

過労死ラインは、「残業時間が①病気の発症直前1カ月に100時間、②発症前2~6カ月間の月平均が80時間」とされています。

新たな評価方法では、これらに近い水準の残業をしていて、労働時間以外の負荷が認められる場合は

「業務と(病気の)発症との関連性が強いと評価できる」と判断します。

従来の基準でも「就労態様の諸要因も含めて総合的に評価されるべき」と定めてはいましたが、

残業時間のみで判断されやすいとの指摘がありました。

実際に、2019年度に脳・心臓疾患で労災認定された事例のうち、

残業時間が80時間未満だったのは全体の約1割の23件にとどまっています。

 

【 新たな評価方法 】

→ 残業時間以外の要因が反映されやすくなる。

(例1)退社から次の出社までの「勤務間インターバル」が11時間未満かどうかを判断の補足として加える。

(例2)睡眠の短さや疲労感、高血圧などが関連するとの見方を示す。

(例3)休日の少なさ、ノルマといった「心理的ストレス」なども例示。

 

これまで「精神的緊張」と表現していたところを「心理的負荷」に変更し、

パワーハラスメントやセクシャルハラスメントも明記しています。

 

 

今後、精神障害や脳・心疾患による労災事故が認定されやすくなり、さらに件数が増加することが予想されます。

また、コロナ禍の状況もまだ先が読めません。

こんな時こそ、時代にマッチした「きちんとした備え」をしておきたいものです。

 

従業員を雇用(使用)する側として勤怠管理や労働環境を整備することはもちろんですが、

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