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「火災保険の『水災』補償について」

6月2日から3日にかけて大型の台風2号と梅雨前線の影響で、日本列島は記録的な大雨となりました。

東京都内でも、神田川や目黒川、善福寺川などで氾濫危険水位を超え、各地で避難指示が出されました。

これから台風シーズンを迎えるにあたって、いま一度、ご自宅周辺や生活圏内の水災リスクや避難場所等についての再確認をしておきましょう。

「重ねるハザードマップ」 : https://disaportal.gsi.go.jp/

→ 洪水や土砂災害などの災害リスクがどの地域にどれくらいあるかをチェックできます。

 

今回は、火災保険の「水災」補償について触れてみます。

火災保険の水災補償では、台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石等の

「水による災害が原因で、建物や家財が所定の損害を受けた場合」に補償が受けられます。

また、火災保険では、保険の対象を「建物のみ」、「家財のみ」、「建物と家財」の3つの中から選べますが、

どのように選択するかによって、水災に遭った時に補償される損害が異なります。

1)「建物のみ」とした場合 → 建物本体だけでなく、建物がある敷地内に設置された物で、かつ保有しているものは補償されます。

床暖房やトイレ、システムバス、システムキッチン等のように、建物の中にある物でも動かせない物は建物付帯設備として補償対象になります。

2)「家財のみ」とした場合 → 建物がある敷地内に収容される「家財」が補償されます。

家具やテレビ、冷蔵庫等の家電製品、自転車等の生活用動産や衣類や食器等の生活用品も補償対象となります。

3)「建物と家財」とした場合 → 「建物」と「家財」の両方が補償されます。

 

水災補償の支払要件と損害保険金

火災保険の水災補償では、一般的に下記のいずれかの支払要件に当てはまった場合に損害保険金が支払われます。

損害保険金として支払われる金額は、損害額から免責金額(自己負担額)を差し引いた残りの金額です。

(支払要件)

  • 再調達価額(1)の30%以上の損害を受けた場合。
  • 床上浸水(2)または地盤面(3)から45cmを超えて浸水した場合。

(支払金額)

損害保険金(保険金額が上限)= 損害額 - 免責金額(自己負担額)

※1)保険の目的(建物や家財)と同等の物を新しく建築したり購入したりする際に必要となる金額。

再調達価額の名称は、保険会社によって「再取得価額」や「新価」、「保険価額」など呼び名が異なることがあります。

※2)建物内のフローリングや畳等、床を超える浸水のこと。

※3)建物の高さを測るための基準面をいい、家の基礎の最も低い部分のこと。

また、保険会社によっては、損害保険金の支払要件を厳しくしたり支払割合を下げたりすることで、

保険料を抑える特約を付加できる商品もあります。

この場合は、水災補償を付けていても十分な補償が得られず、水災で被害に遭った建物を再建築したり、

十分な家財を購入したりすることができない等の可能性があり、注意が必要です。

このように、損害保険金の支払金額は契約の内容によって異なりますが、共通して言えることは、

火災保険で水災として認められる被害は、原則として床上浸水した時、あるいは再調達価額の30%以上の損害を受けた時です。

☆ 上記のような条件がない「水災100%補償タイプ」のお薦め商品もあります

 

水災補償が受けられない主なケース

地震による津波や土砂崩れによる被害

津波も土砂崩れも水に関わる自然災害ですが、地震が原因で起こる津波や土砂災害による家屋・家財の損害は、地震保険の対象です。

地震が原因で起こる津波や土砂崩れの被害に備えるためには、火災保険にセットして地震保険に加入する必要があります

水ぬれ、漏水による損害

火災保険の「水災」と混同されがちなのが「水ぬれ」による損害です。

給排水設備の破損や詰まり等の事故による漏水や、マンションの上階からの漏水で建物や家財が損害を

受けたような場合は「水ぬれ」の補償の対象になります。

風、雹(ひょう)、雪による損害

自然災害でも、台風や暴風等が原因でガラスが割れたり家屋が破損したりする損害は「風災」の補償の対象となります。

また、雹(ひょう)や大雪が原因で屋根や雨どいが破損したというような損害は、「雹(ひょう)災・雪災」の補償の対象になります。

 

市街地にあるマンションの高層階に住んでいる人は、浸水被害のリスクは少ないと考えられ、水災補償を外しても問題ないでしょう。

一方、戸建て住宅はもちろん、市街地のマンションでも低層階に住んでいる人や河川や海、山の近くにあるマンションに住んでいる人は、

近隣地域の水災の危険度を確認する必要があります。

台風や大雨で近くの川が氾濫して起こる洪水や、ゲリラ豪雨でマンホールの排水が行き場を失ったことによる都市型洪水は、

いったん発生すると、浸水被害が広範囲に渡ります。

1件あたりの損害額が100万円以上になることは珍しくなく、1,000万円以上の損害保険金を受け取る例もあります。

また、土砂災害は、必ずしも床上浸水になるとは限りません。土砂により建物の構造物そのものがずれたり、

損壊したりする損害が発生することもあります。

 

(まとめ)

火災保険を検討する際、「水災」補償を外すことで保険料の節約につながる場合もありますが、

「水災」補償を外しても本当に大丈夫なのか、建物の立地条件や構造等を考慮の上、判断、選択することが大事ですね。

また、既にご加入の火災保険の「水災」補償についての再確認もお忘れなく。

ご不明な点、ご要望等ございましたら、お気軽にお声掛けください。

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