風災 について
長かった梅雨も明け、ようやく本格的な夏の到来となりました。
近年、毎年のように日本を襲い、各地に大きな被害をもたらしている大型台風や大雨には注意が必要です。
今回は、火災保険の風災補償について、触れてみたいと思います。
まず、風災とは、台風や突風、竜巻、暴風などの強風による災害のことをいいます。
風災で想定される被害の例としていくつか挙げてみます。
・強風で屋根の瓦が飛んでしまった。
・強風で物が飛んできて窓ガラスが割れてしまった。
・台風で屋根が壊れ、そこから入る雨により家財が濡れてしまった。
・突風でカーポートの骨組みが傾斜してしまった。
・強風で転んだり、飛んできた物にあたりケガをしてしまった。
・強風で庭の物置が倒れ、隣家の塀を壊してしまった。(※)
上記の被害例は一部にすぎませんが、それでも建物や家財、人などにおよぶ風災は様々です。
風災で建物や家財が損害を受けた時に補償してくれる保険が火災保険です。
火災保険では、風災による被害は基本補償に含まれているのが一般的で、「風災・ひょう災・雪災」がセットになっています。
保険の対象を「建物のみ」、「家財のみ」、「建物と家財」の3つの中から選びますが、
どのように選択するかによって、風災に遭った時に補償される損害が異なります。
「建物」とは、建物本体だけでなく、建物がある敷地内に設置されたもので、かつ保有している物は補償されます。
床暖房やトイレ、システムバス、システムキッチンなどのように建物の中にある物でも動かせない物は建物と見なされます。
「家財」とは、建物がある敷地内に収容される物で、家具やテレビ、冷蔵庫などの家電製品、自転車などの生活用動産が該当します。
火災保険の風災補償で、補償が受けられない主な例として、次の2つがあります。
① 風災に因らない吹き込みや雨漏りなどによる損害
通風口や窓の隙間などから雨などが吹き込み、室内に損害が生じた場合は対象外となります。
(風災が原因で、建物の外側の部分(外壁、屋根、開口部など)が破損し、
そこから雨などが吹き込んだり雨漏りしたりする場合に限られます。)
② 自然または摩擦などで劣化した場合
建物の経年劣化や老朽化に因って、建物内部や家財に水濡れなどの損害が発生した場合は対象外となります。
火災保険では、支払要件に当てはまった場合、契約時に決めた保険金額を限度として損害保険金を受取れます。
「損害保険金(保険金額が上限)」=「損害額」-「免責金額(自己負担額)」
風災補償は、住んでいる地域や建物構造により、自然災害から受ける損害の大きさに違いがあるため、
免責金額を別途設定できるようにしている保険会社が多くあります。
一般的に、免責金額を高額にするものと、免責金額をなしにするかわりに
「損害額が20万円以上となった場合」のみ補償されるものがあります。
住環境や補償対象によって、必要な補償や保険金額、免責金額の設定などを検討しましょう。
また、近年、住宅の修理に関するトラブルも増えています。
工事見積や保険金請求手続きを代行する業者から、「火災保険が使える」などと勧誘され、
契約を交わした後にトラブルが発生するケースです。
火災保険では、事故により損害を受けた建物や家財を、「原状回復」という事故の前と同じ状態に戻すために必要な費用が補償されます。
見栄えを良くしたり、既存の部品や製品よりも高品質の製品を用いたりして行うリフォーム工事は対象外となります。
自然災害の後に業者から勧誘されることも考えられますので、被害に遭った場合には、
業者と契約する前に、まずは保険会社あるいは保険代理店へ相談しましょう。
最後に補足ですが、上記に挙げた風災被害例の中で、
(※)「強風で庭の物置が倒れ、隣家の塀を壊してしまった。」のように、他人(第三者)に損害を与えてしまった場合、
自然災害のような不可抗力の事故では、一般的に損害賠償責任は発生しません。
ただし、建物の管理上、重大な過失があった場合は損害賠償責任が発生します。
その場合は、火災保険や自動車保険などに「個人賠償責任補償特約」を付けていると、そちらで補償を受けることができます。
台風の他、温暖化によると思われる自然災害も増加傾向にあります。
今回注目した「風災」を含めた「風災・ひょう災・雪災」補償の必要性を理解して、しっかりとした備えをしておきたいですね。
ご不明な点、ご要望などございましたら、お気軽にお声掛けください。